尼崎北図書館には、いつもお世話になっていています。
職員のみなさんがとても親切で、いろいろ工夫があって楽しいです。
蔵書がもっと多ければ、さらに嬉しいんですが・・・。
そこでたまたま見つけた『神戸書いてどうなるのか』という本を読んでいると、著者と年齢が近いこともあって、懐かしさに拍車がかかりました。
(震災で今はもう無い「春待ち疲れBAND」の店名がちらっと出てきたのが嬉しかったし)
作家の筒井康隆氏が、垂水区に住んでいた事も初めて知りました。
そこで、彼が昭和50年ごろに書いたエッセーも読んでみると、当時のことがもっと知りたくてウズウズ。
垂水区の事は、垂水図書館に行けばいいと思いつき、行ってみました。
ここは小さな図書館なので職員も少なく、自由に蔵書検索もできず、郷土本のコーナーはありましたが、本が少ない!
全体的に残念な印象を受けました。
でもそこで読んだ本「舞子、舞子の浜 秘話」の中に、また知らなかった事が書かれていました。
私が住んでいた星陵台5丁目が、昔は、地元の人達が青池と呼んだ大きな池で、そこには白龍昇天という縁起の良い伝説があったというのです。
誰もそんな事を教えてくれなかったわー!
懐かしさだけでなく、こんな新発見まであると、もう興味が止まりません。
家で、神戸市立図書館の蔵書を調べてリストを作り、次に目指すは中央図書館です。
秋晴れの日、何十年ぶりかのリュックを背負って、登山気分で坂を上がりました。
清々しい朝の湊川神社でお参りをし、振袖で雨の成人式に参加した体育館を過ぎ、最前列で観た米米クラブのコンサートがあった、あじさいの壁画が当時のままの神戸文化ホールを過ぎて、まだ上り。
神戸の空気は爽やかで気持ちいいけど、汗ばんで本に辿り着くってなかなか無いわ・・・。

でもその甲斐あって、館内閲覧のたくさんの本を読むことができました。
『垂水の今と昔』という本の中に見つけた、町名の命名に関する下の一文だけで、もう満足。
「星陵と呼称するは高丸丘陵地の高位置を指すか或いは青雲の希望と理想に因みて呼称するのであったのでないか。」
また、『垂水誌』の中にある、大正12年に書かれた「一、我が垂水村」という文章では、
「昔から摂播二州の界は絶勝を以て宇内に鳴る。」から始まり、垂水の魅力を力いっぱいに伝えています。
美しい景色を、
「金波のただよう晴天によく、銀波のみなぎる良夜にもよし、春の霞にねむる淡山もよく、秋の怒涛の岸に踊るも面白し、春夏秋冬四時の眺は絶間なく、晴雨明暗書夜の変化に趣を増す。」
と表現し、暮らしやすい気候については、こうです。
「春の山は霞棚曳いて人の心をうっとりとさせ、秋の空は澄み渡って人の心をひきしめるは言うまでもなく、夏は三伏の暑さを松の緑や海水によけ、冬は酷寒のおとづれることがない(後略) 」
・・・ 沁みます。
地図や写真といった確かな情報を求めていましたが、心情や記憶といった不確かな情報の中にこそ、私が欲しているものがあるようです。
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